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ゾンビ(Dawn of the Dead)

ゾンビ映画の金字塔と聞いて一度は見てみようと思っていたやつを見れたので感想など。


これが一番最初のゾンビ映画かと思っていたけど本作を見た後で関連が知りたくなってウィキペディアに行ったら前作(Night of the Living Dead)があったり、さらにその前におそらくこれがゾンビ映画の始祖といわれるものだろうというのがあったり、元はブードゥー教からきてるとか黒人弾圧の背景からなかば面白半分でハリウッドで娯楽映画化されていったとか掘れば掘るほど色々でてきて興味深かった。


この作品の主人公らしき男性も黒人で、そこになにか理由があるのかと引っかかっていたのでそのあたりと関係あるのかもと勝手に納得した(ストーリー後半の会話で「ブードゥー教を知ってるか」「地獄がいっぱいになると溢れた死者が地上を歩く」みたいなセリフがあってそれ以外にはなぜこうなっているのかという説明が冒頭から一切ない。そしてこのセリフも憶測として語られているに過ぎない)


けっこう謎が多いまま消化不良で終わるのでスッキリ系が好きな方にはおすすめできない。あとなんといってもグロい。


血はいかにもペンキ塗りましたというテカテカした赤なんだけど、ゾンビが人を襲って食う時の肉のちぎれ方とかチキン…骨つきチキン…とは分かってるけどなんでそこそんなに見せるんだよとだんだん腹が立ってくるグロっぷり。強盗が生きたまま腸をむしゃむしゃされるシーンは自業自得と言えなくもないけど心のアメリカ人が「イカレてるぜ!!」って唾吐いてくれてほっとした。


でもさすが金字塔というか「知能はなくコミュニケーション不可」「ゾンビに食われたらゾンビになる」「頭を破壊すれば死ぬ」「火が苦手」等々のゾンビ原則がこれで固定されたんだな感ある。

テーマ的な部分はパニック映画共通で「極限の状況の中でどこまで人間性を保ったまま生きられるか」みたいなのがあると思うんだけど、ゾンビ映画はこれにプラスして「自分の大切な人がゾンビ化した時(することが避けられない時)どうするか」がシチュエーションとして避けられない状態で描かれることが多い気がする。


大体はそこで葛藤の末大切な人を自ら手にかけることになる主人公に涙する…んだけどこの映画のそんなシーンで思ったのは「いいから早く撃てよ!!!」だった。

来るぞ来るぞ感とか画としての良さとかは確かにあるんだけど、引き換えに何か大事なものを奪われていく気がするよ~ロメロ~


状況が切迫しているということ以上に「頭を撃てば死ぬ」ということが分かってるならゾンビ化を待たずに人であるうちに殺してやれよということなんだけど、いやでも大事な仲間の身体を傷つけるなんてそりゃ躊躇するよね、もしかしたら生き返らないかもという希望を持ってるのかも、いや持ちたいんだこの主人公は!イカレ野郎は私か…としょんぼりもしたんだけど、クライマックス、ほんとに最後のほう、今行けば二人とも助かるというシーンでもこの主人公は待つ!!!なぜ待つ!!

そいつは助からないとさっき自分で納得してきたのにこの目で見るまではと思ってるのか?わざわざゆっくり階段を上ってくるのを待つ!待つな!逃げろ!見るな!その希望は間違ってるぞ!これ以上むだに傷つくな!!と思ってしまう。


ちょいちょいそういう、ん?となるような、突っ込みたくなるシーンがでてくる。

それというのもこの映画のゾンビは走らないし道具も使わないし鍵も開けてこない、姿を見られない限りは襲ってこないし来ても体当たりして走ったら逃げきることが可能。

ゾンビそのものの難易度は実はそこまで高くない。冷静に対処できれば生き残り率高め。にもかかわらず登場人物がほぼ消える。ゾンビ映画なのに敵がゾンビじゃなくなっていく。


シューティング感覚でゾンビを撃って遊ぶ人間がいたり、主人公の仲間もゾンビを殺す快感に目覚めて仲間と自分の身を危険にさらしたりする。

クライマックスの強盗団がゾンビを面白半分で殺戮して回るシーンはほんとにえげつない。ゾンビより人のほうがよっぽど怖いよ、になっていく。この人間こわいが見せたいものなんだとしたらこの監督すごい…すごい性格悪い…よくできてる…


主人公たちも物資より命を優先してさっさと逃げていればあのエンディングにはならなかっただろうに「くそっ…俺たちのものなのに!」とかスティーブンが言った瞬間たぶん誰もが「いやお前らのじゃないだろ」と突っ込む。なんて愚かなんだ!バカ!でもその気持ち分かる!っていう。


自分がもし同じ状況にいたら、と想像して入り込める作品はそれだけで魅力的と思う。


その上でまとめると決しておもしろかった~ってなるもんじゃないです。死にたくなります。もんやりします。でも私のように初期のゾンビ表現にちょっと興味があるという方とか鬱映画オッケー、スプラッタ上等、という強メンタルな方にはひっそりおすすめしたいです。


バージョンによっては残酷描写がカットされてたり日本のテレビ放送版は吹替でキャラまで変わってるやつとか色々あるらしいです。私が見たのは字幕のディレクターズカット版でした。


ちなみに同タイトルのリメイク版(2004年)はリメイクといってもストーリーから何から違うようなので機会があればそっちも見てみたいと思ってます。こっちはゾンビが走るしかなり怖いらしい。見れるかな。













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