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チェイサーという映画が強かった

原題はKIDNAPで内容そのまま我が子が誘拐されるというお話なんだけど、見た後だとチェイサー(追いかける、追跡する)がめちゃくちゃはまっているなと思う。

さらわれた子供を取り戻す為に母親がたった一人で犯人を追いかけていく、その様がものすごい迫力でなんかもうずっとわああああとなって終わる。


犯人の動機に実は深い理由があって〜とか母親の過去に秘密が〜とかそういうのは一切ない。裏設定として本当はあるのかもしれないんだけど、出てこない。それがすごく良かった。

どこまでいっても極悪人としか思えない犯人だから素直に憎めるし母親を応援できる。


このお母さんはごく普通のパート主婦で息子を溺愛しててお金のことで夫に親権を取られそうになっててという事情が初めのほうで丁寧に描かれていて共感を誘う。そこからの鬼化。


鬼といっても別に突然車のトランクからライフルを取り出すとか常人離れした体力があるというわけではなくて、マイカーでもってひたすら犯人の車を追いかける。

ドライブテクがすごいとかもなく「嘘でしょ!?」「もうやだ!!」と言いながら他の車を巻き込んだり事故ったりする。

ただどうあっても息子を取り戻す、そこがブレない。

ためらいは見せても息子の為には他人を見捨てる。ここ短い一瞬のシーンなのに顔の演技と間だけで色んな感情が巻き起こる。


ラストもスカッと終わるし、多分この一件によって母親の評判が上がって親権も取り戻せてなんなら職場の待遇も上がるんだろうなというハッピーエンド感で幕を閉じる。


別に物語なんだからそれでいい。いいんだと思いつつハリウッド映画にありがちな「主人公のカーチェイスによって犠牲になった名もなき一般人問題」がちょっと頭をかすめる。

でもハリウッドだからきっとそのへんも上手い具合に無事なはず。はずであれ。


あと息子はこの先一生母親に頭が上がらないんだろうな…


どこまで自己防衛で許されるのかとか倫理的にどうなのかみたいなことを考えなければ普通にハラハラドキドキ楽しめるし、細かいことは置いといて「自分ならどうするか」を考えさせられる物語は好き。


とにかくすごい、強い。

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